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私は医薬品卸の管理薬剤師、MR、医療機器営業を経験した後、30代で初めて調剤薬局へ転職しました。

この記事の結論

私の場合、30代・調剤未経験でも薬局へ転職できました。

年収は一時的に下がりましたが、想像していたほど大幅ではなく、その後は営業職時代と同程度まで戻っています。

出張がなくなって生活も安定し、今のところ転職したことに後悔はありません。

私の経歴|営業職を経て薬局へ

  1. 医薬品卸の管理薬剤師
  2. MR
  3. 医療機器営業
  4. 30代で調剤薬局へ

MRから直接薬局へ転職したわけではありません。調剤経験がない状態で、営業職から薬局へ移った実体験です。

医療機器営業で実際にしていた仕事やMRとの違いは、薬剤師が医療機器営業を経験|仕事内容・年収・MRとの違いで詳しくまとめています。

30代で薬局へ転職した理由

薬局へ転職した理由は、大きく2つあります。

調剤薬局で働きたいと思っていた

以前から、いつかは調剤薬局の仕事を経験したいと思っていました。

営業職を続ける選択肢もありましたが、30代になり、未経験の仕事へ移るならそろそろ決断する時期だと感じたのが転職のきっかけです。

「何歳までなら転職できる」という明確な線引きがあったわけではありません。

ただ、先延ばしにするほど年齢も年収も上がり、未経験の仕事へ移る決断は難しくなるだろうと考えていました。

医療現場で必要とされる仕事がしたかった

営業職では、自分が担当している商品が本当に患者さんにとって一番よいものなのか、分からなくなることがありました。

競合他社にもよい製品があります。

その中で自社製品を提案し続けているうちに、自分が介在する意味を感じにくくなっていきました。

もちろん、これは営業職そのものを否定する話ではありません。当時の私自身が感じていたことです。

商品を売る立場よりも、医療現場で直接必要とされる仕事をしたい。そう考えて、薬局薬剤師への転職を決めました。

薬局への転職で年収はどう変わったか

私の場合の年収は次のとおりです。

時期年収の変化
営業職時代転職前の比較基準
調剤薬局への転職直後営業職時代より下がった
薬局で経験を積んだ後営業職時代と同程度まで戻った

転職初年度は、営業職時代と比べて年収が下がりました。ただ、転職前に想像していたほど大きな差ではありませんでした。

その後、管理薬剤師を任されるようになり、現在は営業職時代と同程度まで戻っています。

もちろん、提示される年収は勤務エリア、会社、勤務時間、休日、担当する仕事などによって変わります。ここで紹介している変化は、あくまで私の場合です。

調剤未経験で苦労した4つのこと

調剤未経験で特に戸惑ったのは、次の4つでした。

  • 患者さんとの距離感
  • 薬の名前
  • 医療制度
  • レセコンの操作

1.患者さんとの距離感

最初に戸惑ったのは、患者さんとの接し方でした。

営業職時代の感覚で、患者さんと話すときに椅子へ一緒に横並びで座ったことがあります。

そのとき、薬局ではこうした座り方はあまり一般的ではないと知り、営業先の医療従事者と患者さんとでは、接し方が違うのだと感じました。

人と話す仕事には慣れていても、患者さんとの距離感は新しく覚えていく必要がありました。

2.薬の名前

MR時代の知識は、自分が担当していた領域が中心でした。

そのため、薬局で扱う幅広い薬を最初から知っていたわけではありません。

知らない薬が出てくるたびに電子添文(添付文書)を確認し、毎日薬に触れるうちに少しずつ覚えていきました。

家で特別な勉強時間を設けていたわけでもありません。

分からないものが出てきたらその場で調べ、また同じ薬に触れる。その繰り返しが一番の勉強になりました。

3.医療制度

薬の知識だけでなく、保険調剤の仕組みや各種算定など、制度面も覚える必要がありました。

しかも制度は、一度覚えれば終わりではありません。

改定があれば内容も変わるので、今でもメーカーなどが出している資料を確認しながら対応しています。

これは転職直後だけでなく、薬局で働いている限り継続して確認していく部分だと感じています。

4.レセコンの操作

レセコンも、MRや営業職では触れたことのない仕事でした。

最初は画面の見方や入力方法も分からず戸惑いましたが、毎日操作しているうちに少しずつ慣れていきました。

私は入社前にレセコンを勉強していたわけではなく、入社後に実際の操作を教えてもらいながら覚えていきました。

MR経験が薬局で役立ったこと

MR・営業職の経験が特に役立ったと感じるのは、医療機関とのコミュニケーションです。医師や看護師と話すことには慣れていたため、薬局から医療機関へ連絡したり、確認や調整をしたりすることには、それほど苦手意識がありませんでした。

一方、患者さんへの対応には別の慣れが必要でした。

MRを経験しているからといって、調剤業務がすぐできるわけでもありません。調剤業務、保険制度、レセコン、幅広い医薬品の知識などは、薬局に入ってから新しく覚える必要がありました。

それでも、それまでの経験がすべてリセットされたわけではなく、生かせる部分は確かにありました。

管理薬剤師の業務も経験した

私の場合、調剤薬局へ入社した後、管理薬剤師の業務も任されるようになりました。

管理薬剤師になる時期は会社や店舗によって違うので、これはあくまで私のケースです。

管理薬剤師になってからも、医療機関とのやり取りでは営業職時代の経験が役立ちました。

調剤や服薬指導だけでなく、店舗全体を見る立場になったときにも、それまでの職歴が無駄になったとは感じませんでした。

出張がなくなり、生活が安定した

薬局へ転職してよかったことの一つが、生活サイクルが安定したことです。

営業職時代は出張があり、平日に家を空けることも少なくありませんでした。

薬局へ転職した時期は子育てが始まる時期とも重なりましたが、出張がなくなったことで家にいられるようになり、子育てにも関わりやすくなりました。

勤務時間も以前より安定しています。

意外によかった「平日休み」

転職前は、平日休みにそれほど魅力を感じていませんでした。でも、実際に平日に休んでみると印象が変わりました。

銀行や行政関係の用事を済ませやすいですし、旅行や遊びに出かけるときも、土日より空いていることがあります。

料金が安くなる場面もあります。

以前は「休むなら土日がいい」と思っていましたが、混雑を避けて動ける平日休みは、思っていた以上に便利でした。これは薬局勤務になってから気づいた、ちょっと意外なメリットです。

外へ出にくい働き方の負担

生活が安定した反面、営業職の方がよかったと感じる部分もあります。

私の場合、薬局勤務になってからは、勤務中に外へ出る機会がほとんどなくなりました。定時で帰れる一方、勤務中に場所を変えて気分転換することは難しくなりました。

営業職では移動そのものが気分転換になっていた面もあるので、今でもここは違いを感じます。

外回りや移動が好きなのか。
それとも、一つの場所で働く方が落ち着くのか。

MR・営業職から薬局へ移るなら、仕事内容だけでなく、こうした働き方の違いも考えておいた方がいいと思います。

転職活動で利用した支援

薬局への転職活動では、JAC Recruitment、メディカルリソース、クイックを利用しました。

各社の担当者には、条件に合う求人を探してもらったほか、面接練習や職場の雰囲気についての情報提供もしてもらいました。

正直なところ、3社の担当者に極端な違いは感じませんでした。

それよりも大事だったのは、自分が何を希望しているのかを具体的に伝えることでした。

たとえば、

  • 調剤未経験であること
  • 希望年収と、どこまでなら許容できるか
  • 未経験者を教えられる人員や勤務体制があるか
  • 残業、休日、異動、通勤についての希望
  • 今後どのような薬剤師として働きたいか

といった条件です。

企業での経験を応募書類にどうまとめるかは、企業・MR経験者向けの職務経歴書の書き方に、職務要約・担当業務・自己PRの記入例と、実際に面接で伝えた内容をまとめています。

特に調剤未経験なら、求人票の年収だけではなく、入社した後に誰から、どのように仕事を教えてもらえるのかも確認しておいた方がいいと思います。

調剤未経験で転職する場合は、転職できるかどうかだけでなく、入職後に仕事を覚えられる職場かどうかも重要です。現在の管理薬剤師としての視点も含め、職場選びで確認したいポイントを別の記事にまとめました。

調剤未経験で薬局を選ぶときに確認したい7項目を見る

面接で伝えた志望動機

面接では、営業職を否定するのではなく、「これからどんな仕事をしたいのか」を中心に伝えました。

当時話した内容を、今振り返って整理するとこんな感じです。

営業として自社製品を提案する中で、他社にもよい製品があることを知り、自分が介在する意味を感じにくくなっていました。

以前から調剤薬局で働きたいという思いもあり、より患者さんや医療現場に近い立場で、必要とされる仕事をしたいと考えています。

転職理由をきれいに取り繕うというより、

  • なぜ今なのか
  • なぜ営業ではなく薬局なのか
  • これまでの経験をどう生かしたいのか

を、自分の言葉で説明できることの方が大事だと思います。

薬局へ転職して後悔はあるか

その後、薬局で経験を積んだ現在、薬局へ移ったことを後悔していません。

理由を挙げると、

  • 医療現場で必要とされている実感を得やすくなった
  • 出張がなくなり、生活サイクルが安定した
  • 子どもと過ごせる時間が増えた
  • 年収も営業職時代と同程度まで戻った
  • MR・営業職の経験も医療機関とのやり取りなどに生かせている

といったところです。

もちろん、薬局ならではの大変さもあります。

外へ出られず気分転換しにくいこともありますし、制度が変わればその都度対応しなければなりません。

それでも、自分が転職するときに求めていた「生活の安定」と「必要とされている実感」は得られています。

薬局への転職が合いそうな人

私自身の経験から考えると、次のような人なら薬局への転職を検討する価値があると思います。

  • 以前から薬局薬剤師として働いてみたいという気持ちがある
  • 年収だけでなく、生活の安定も重視したい
  • 出張の少ない働き方をしたい
  • 患者さんに近い立場で仕事をしたい
  • 分からないことをその都度調べながら覚えていける
  • MRで培った医療従事者とのコミュニケーション経験を生かしたい

逆に、外回りや移動が好きな人、自分で予定を組んで動く営業職の働き方が好きな人には、薬局勤務を窮屈に感じる部分もあると思います。

また、転職による年収低下をまったく許容できない場合も、条件は慎重に確認した方がいいでしょう。

まとめ:企業経験は薬局でも生かせる

私は30代で、調剤未経験の状態から薬局薬剤師へ転職しました。

薬の名前、医療制度、レセコン、患者さんとの距離感など、最初は分からないことばかりでした。ただ、特別に家で勉強漬けになったわけではありません。

現場で毎日薬に触れ、分からない薬があれば電子添文を確認しながら、少しずつ覚えていきました。

MR・営業職の経験だけで調剤業務ができるわけではありません。それでも、医師や看護師とのやり取りなど、それまでの経験を生かせる場面はありました。

年収は転職直後に少し下がりましたが、その後は営業職時代と同程度まで戻っています。

出張がなくなって生活が安定したこと、子育てに関わりやすくなったこと、意外と平日休みが便利だったことも、転職してから分かった変化です。

MRから薬局薬剤師への転職を考えているなら、年収だけでなく、教育体制、勤務時間、店舗の人員、働き方まで含めて確認しておくことをおすすめします。

薬剤師転職サービス4社の特徴と、条件別の選び方はこちらで整理しています。